日々報じられるニュースや情報を、100%額面通りに受け取らない方がいいと思います。ウソが書かれていると言っているわけではありません。その背後に「裏工作」が介在しているかもしれないからです。
国際陰謀小説めいてきましたが、現実です。ひとごとではありません。自分自身もいつ裏工作で〝抹殺〟されてもおかしくない時代なのです。日本テレビの視聴率不正操作問題が世間を驚かせましたが、あの程度の「裏工作」は、ある人たちにはたやすいそうです。
主役は、最近増えている「裏工作屋」です。不況などでトラブルが増えている中、人間関係破壊、復しゅう、リストラ、抹殺などのぶっそうな工作を数十万円以上の報酬で請け負うのです。インターネットや口コミで仕事を受けるため、あまり表に出てきません。
先日、都内の喫茶店で、たまたま40代の裏工作屋に接触できました。目付きが異様に鋭いのが印象的でした。開口一番「よく、企業幹部からの依頼で、不良社員のリストラ工作をしてるよ。あと、末端社員や女性から依頼を受けて、憎い企業幹部や元カレの社会的生命を消している」。
コーヒーを飲む手が一瞬震えました。やり方を聞くと、裏工作屋は「別に力づくじゃない。簡単よ。例えばターゲットが逮捕されれば、社会的に抹殺されるでしょ。分かる?」。
恐怖におののきつつ、聞き続けました。「工作の一例をあげれば痴漢逮捕だ。ターゲットの身辺を徹底調査した後、彼に工作員の女性を接近させて、電車内痴漢で逮捕されるようにするの。女の子が『チカン!』と叫んで駅員に引き渡せば、高確率で逮捕される。会社員ならそれで人生アウトだ」。
確かに最近、痴漢誤認逮捕が問題化しています。ほぼ毎朝見る痴漢逮捕記事の背後に「裏工作屋」の存在があったとしたら“抹殺”された人は浮かばれません。でも自分もその「ターゲット」になる可能性は常にあるのです。
裏工作屋の「工作能力」を確認するため、私自身の調査を依頼し、数日後に「結果」を聞きました。住所、携帯電話番号などはもちろん、レンタルビデオ店で過去借りたある種のビデオタイトル歴まで突きつけられました。各業界に内通者を張り巡らしているそうで、すさまじい調査能力です。
それからというもの、レンタルビデオを借りないようにし、地下鉄で女性がいたら逃げ、うらまれないように、後輩に気味悪いくらいやさしく接しました。でもいい加減疲れてきました。人間に憎しみ、嫉妬などの感情がある限り、この種の業者は古今東西存在し続けるでしょう。人口50人程度の孤島でのんびり生活したくなりました。
そんな時、こんな裏工作屋も出現していることを知ったのです。呪い代行業者。数万円~数十万円程度で憎い相手を「呪殺」してくれるそうです。北極圏に脱出しても「呪い」からは逃げられません。だから、怨念渦巻く大都会で当面、粛々と生きていくことにしました。